「僕が乗ってるのは軽自動車。ってことは、軽油で動いてるんだよね!」
はじめての給油、セルフスタンドで軽油を選択。……このあと彼と彼の車に起こる悲劇、想像に難くありませんよね。
ベテランドライバーの皆さんは「そんなバカな」とお思いでしょうが、車を手に入れたばかりの初心者さんにとっては意外と少なくないこの間違い。とくにセルフ形式のガソリンスタンドの増加と共に、こうしたトラブルの発生数も増えているのです。
今回は軽自動車に軽油を入れてはいけない理由と、万が一入れてしまった場合はどうなってしまうかについて、お話したいと思います。
ご存知ない方のために最初に説明させていただきますが、軽自動車は普通車と同じくガソリンで動く車です。軽油を入れてはいけません!
「だってレギュラーよりも安かったから……」とモゴモゴしている方もいらっしゃるかもしれませんが、そもそもモノが違うのですから値段が違うのも当たり前です。
セルフのガソリンスタンドでは燃料を見間違えないように、給油ノズルがそれぞれ色分けがされています。どのセルフスタンドでもレギュラーが赤、ハイオクが黄色、軽油が緑と決まった色になっているはずです。
最近車に乗り始めたばかり、あるいは普段車にあまり乗らないというあなた。燃料の種類の確認は大切ですよ!
結論から申し上げますが、車が動きません。
ガソリンと軽油は、着火点と引火点の温度がそれぞれ異なります。このため、ガソリンを燃焼させるしくみで軽油を燃焼させようとしても、軽油がうまく燃えないのです。
「もしかして爆発する!?」なんて慌てる必要はありません。軽油のほうがガソリンよりも引火点が高いので、さすがに爆発まではしませんよ。
例外として、ディーゼルエンジンが搭載されている自動車は軽油で動きます。緑の給油ノズルに「ディーゼル車専用」と記載してくれているガソリンスタンドもありますから、燃料を見分けるのは難しいことではないはずです。が、ディーゼル車に乗ったことがあるという人ほど、こういった過ちは犯さないでしょう。基本的には赤色のレギュラーガソリンを入れてください。
ただし、軽自動車に軽油を入れるなんてことはベテランのドライバーからしてみればあり得ないこと。「なにやってんの?」と鼻で笑われても、何も言い返せないのはつらいところかもしれません。ちょっと悲しいかもしれませんが、ときには身をもって学ぶことも大切です。
困るのは実際に軽油を入れてしまったときです。給油のときに気づいて、まだエンジンをかけていないのであれば、急いでガソリンスタンドのスタッフの方に相談しましょう。
スタンドにいる整備士の方や外部からかけつけてくれた業者さんが、その場でガソリンタンクを洗浄するなどして対処してくださいます。
知らずにエンジンをかけてしまった場合は、残念ながらかなりマズイ状況です。まずはエンジンを止めて、加入している保険会社に連絡をしてください。今回ばかりはガソリンタンクの洗浄だけでは済まされなくなり、車のいたるところに回ってしまった軽油をきれいさっぱり洗浄しなければなりません。
修理費用についてですが、対応してくださる業者さんにもよるかと思います。ただし、エンジンをかけていなかった場合であっても数万円はくだらないものと考えておいてください。
エンジンをかけてしまい、車の内部を隅から隅まで洗う必要がある場合には、最大で十万円を超えることも……。
入れてしまったら最後です。間違えて入れないことが何より大切ですね。
実は、こうした燃料の入れ間違いは意外と多い事例らしいのです。JAFの調査によれば、ある年に「セルフスタンドで燃料を入れ間違えてしまった」というトラブルの報告が全国で270件近くに上ったそうです(2016年調査)。
間違えてしまった理由としては、「うっかりしていた」「普段乗らない車だった」「軽自動車は軽油と思っていた」といった認識不足や勘違いによるものが多かったようです。
もちろん常識の範囲かもしれませんが、それはあくまでも車にある程度乗った経験がある人にとっての常識です。「自分はなんてバカなことを……」なんてあまり落ち込まないでくださいね。
実は意外と多い、軽自動車に軽油を給油してしまうトラブル。「やっちゃった……」の前に、お気づきいただけたのであれば幸いです。
もしこの記事を読んでいるあなたが、すでに間違えて軽自動車に軽油を入れてしまっていたのであれば……まずはガソリンスタンドの方に、きちんと話してくださいね。保険会社の方もしっかりサポートしてくださいますから、慌てる必要はありません。
何にせよ間違えてしまったものは仕方ありません。次からは気をつければ大丈夫ですよ!「初めて知った……」というあなたも、給油ノズルの色をヒントにしてお使いの車にとって正しい燃料を入れてくださいね。